前回の投稿でいわゆる【単位作業】と呼ばれる個々の作業方法についての説明は全て終わりました.
過去にはもう一点,メタルラス壁を貫通させる時の防護管の措置が有ったのですが,最近は出題されていない様ですし,技能試験に係る「欠陥の判断基準」でも解説されていません.
恐らく今後も出題されることは無いのかと思います.
と言う事で,ここまでの作業を身につけてしまえば,後は実践有るのみです.次回からは各候補問題を仕上げる形で説明していくことにします.
今回は実際の候補問題を仕上げる前に,一連の作業の流れを説明しておきます.
複線図について
私は第二種電気工事士の技能試験では「複線図は描かなくて良い」と確信していますので,この一連の流れには「複線図を描く」作業がありません.
殆どの動画では「先ずは複線図を描こう」と言うスタンスですが,ハッキリ言っておきます.
複線図を描く作業は時間の無駄でしかない
何故,複線図を描かなくて良いのかは,実際の候補問題を仕上げていく中で理解して戴けると思います.
作業の流れ
ではあらためて作業の流れを順に追っていきましょう.
実際の試験場では,工具の配置,配付された器具や電線の確認作業などからスタートしますが,その辺は割愛します.こちらをご覧下さい.
また,各器具への取付時には電線の加工,心線挿入なども含みます.それらへの過去記事リンクを貼っておきます.
- 配線図の確認
- 施工条件を確認 (指示事項を蛍光ペンなどでマーキング)
- アウトレットボックスへのブッシング取付け
- 埋込連用取付枠への埋込器具取付け
- 電線管(ねじなし電線管,PF管)の取付け(含む接地線処理)
- 施工省略部(電源省略部を含む)
- ボックス間渡り線
- 電源部(代用端子台・配線用遮断器)
- 200V用器具
- 引掛シーリング
- (渡り線を含まない)単独埋込器具配線
- 代用端子台(タイマー,自動スイッチ)
- ランプレセプタクル,露出形コンセント(輪作り,ねじ締付)
- (渡り線を含む)連用埋込器具配線
- 差込形コネクタによる結線
- リングスリーブによる結線
- 確認,修正
- 掃除,整形
- エフ取付け
課題によっては行わない作業も含んでいますのでかなり長い手順となってしまいますが,多くても15工程ぐらいでしょう...中でも特に注意が必要なのは太字の作業になります.
この後,候補問題順に具体的な手順を説明していきますが,課題によっては手順が前後する場合もあります.その辺は臨機応変にという事でご了解下さい.
確認作業
【作業の流れ】の1.,2.は確認作業と言って良いでしょう.ここで先ず落ち着くことにします.
試験場では,いきなりカリカリと複線図を描く音がしてきますが,気にしなくて大丈夫です.
また,「最初に電線を切り揃えましょう」と説明している動画サイトや,参考書,講習会で覚えた方は,ここでバチンバチンと電線を切断する音が聞こえてきます.これも気にしなくて大丈夫です.
閑話休題
問題用紙を開いて配線図を見た段階で何番の候補問題かは判るのですが,実は何度も事前練習を重ねることで,支給された器具類や電線,問題用紙にうっすらと写る配線図を見た段階で判ってしまう様になりますし,恐らく施工条件もある程度思い出せるかも知れません.
それを確かめる意味でも,しっかりと施工条件はチェックしましょう.チェック項目は
- ジョイント部分の接続方法
- 接続する電線(絶縁被覆)の色別指定(黒,白,赤,緑)
- 埋込連用取付枠を使用する器具
- 代用端子台の結線位置
1.のジョイント部分は単線図に直接,リングスリーブが「リ(ング)」,差込形コネクタが「差(込)」と書いておくと良いと思います.
ジョイント部分が一箇所しか無く,その中でリングスリーブと差込がコネクタに分かれるケース
過去の出題例では以下の3例になります.
- No.5の接地側電線のみ差込形コネクタで他はリングスリーブ
- N0.8の接地側電線,非接地側電線のみ差込形コネクタ(他は全て負荷側)で他はリングスリーブ
- No.10,11の負荷側電線のみ差込形コネクタで他はリングスリーブ
2.の絶縁被覆の色別指定は,主に【黒】と【白】を配線する位置を指定されます.アンダーラインを引いておきましょう.蛍光ペンが目立ちます.
課題によっては相別の色を指定される場合(R,S,Tが赤,白,黒に対応)があります.
3.の埋込連用取付枠を使用する器具が指定されている項目を見つけたなら,その時点で取付枠に器具を取り付けてしまいましょう.順番は配線図をみて判断します.
4.の代用端子台の結線位置は,実際に結線する際に再確認すれば良いのですが,この段階では【端子台の説明図】に直接,黒:黒色,白:水色,接地線:緑などの筆記具で描き加えておきましょう!
準備段階
【作業の流れ】の3.~5.は,準備段階ですねぇ.配線無しに,支給器具類を組み立ててしまいましょう.
アウトレットボックスへのブッシングの取付を行いながら心を落ち着けましょう.ブッシングへの切り込みも慌てないでゆっくり行うことで肩の力が程よく抜けていきます.
埋込連用取付枠へのスイッチ,コンセント,パイロットランプはこの時点でセットしてしまいます.
実際の配線時に行うより間違いが少なくて済みます.配線の時は配線のことだけを考えればいい様に.
電線管も先に組み立ててしまえば,徐々に部品が減っていくので気持ちが楽です.
施工開始
それでは実際に施工を開始していくわけですが,上記の作業の流れは
- 使い切りの電線を先に施工する
- 長い電線を徐々に消費して行く
- 短くなって扱い易くなった時点でランプレセプタクルなどを施工する
- 最後に「余った電線」から【渡り線】を取りだして配線を終わる
と言うことをイメージしています.
ここで,最初に電線の長さを計算しながら全ての電線類を切断してしまうと,万が一間違った時には取り返しが付かなくなってしまいます.
一つずつの単位作業の度に,電線類は長さを揃えましょう.支給長さには結構余裕が有りますので大丈夫です.渡り線も長すぎるぐらい確保出来ますが,逆に先に用意してしまうと微妙に足らなくなってきてしまいます.
しかし,それでも指定長さの50%以下で無い限り大丈夫ですが...冒険は避けましょう.
簡単な電線の加工
最初は簡単な電線の加工を済ませてしまいましょう.ウォーミングアップ段階です.
電線の切断長さで詳しく説明していますので参考にして下さい.
結線作業
リングスリーブや差込形コネクタでの結線作業は一番緊張する時です.
結線する束を前もってひとまとめにしておくことで間違いを防ぐことが出来ます.
束ねる方法として合格クリップなどが紹介されていますが,他の箇所を束ねている内にずれてきたりしますので,オススメできません.
私は100mm長さ程度の結束バンドを絶対にオススメします.ガッチリと固定できますし,やり直しも簡単に出来ますので.
それでは,次から各候補問題で流れを見ていきましょう...
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