第二種技能-26 リングスリーブによる接続

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心線同士の「接続」で残すはいよいよ【リングスリーブ】です.リングスリーブに関しては2回に分けて説明していこうと思います.

この記事では「接続」そのものについて,次の記事は「リングスリーブの選択」になります.

リングスリーブについて

電気工事士技能試験に使用されるリングスリーブは,恐らく全てニチフ製だと思われます.

差込形コネクタとは違って,【E形リングスリーブ(圧着端子)】と言うカテゴリのものであれば,メーカは問わないと思います.

ただし,この圧着端子の規格:JIS C 2806 では,長さを「10mm以上」とだけ規定しており,制限がありません.

一方,ニチフ製のリングスリーブの長さは【10.5mm】ですので,過去の課題とも照らし合わせて「リングスリーブ長さは【10.5mm】のものを選択して練習すべきと思います.

また,リングスリーブにはサイズ別に小,中,大の3種類がありますが,今後はこれらを小スリーブ中リーブ,大スリーブと呼ぶことにします.技能試験では大スリーブは登場しません.

また,総称としてもスリーブと略記します.業界ではリンスリとも呼称するそうです.

心線長さ

電気工事の技能試験に向けての解説では,スリーブでの接続時は「心線長さを20mm」としている様です.ここでも同じく「約20mm」としています.結構アバウトでいいと思います.

実務的には極力「ゴミ,ムダを少なく」すると言う意味も有って,スリーブでの接続時は心線長さを12~13mm程度に抑えます.スリーブ長さ+2~3mmですね.

接続する心線の数が多くなる場合などは,更に1~2mm長くしますが,この辺は経験に依るところが大きい様です.

技能試験に係る「欠陥の判断基準」の心線長さに関する箇所を抜粋すると,

  • 6-2.心線の端末処理が適切でないもの
    イ.リングスリーブを上から目視して,接続する心線の先端が一本でも見えないもの
    ロ.リングスリーブの上端から心線が 5mm 以上露出したもの
    ハ.絶縁被覆のむき過ぎで,リングスリーブの下端から心線が 10mm 以上露出したもの
    ホ.絶縁被覆の上から圧着したもの

が欠陥事由とされます.

ですから,試験対策としては一連の流れで言うと

  • 【イ.対策】事前に余裕のある長さに絶縁被覆を剥ぐ・・・約20mm
  • 【ハ.対策】心線の根元の露出が3mm以下になるようスリーブに差し込む
  • 【ホ.対策】この時,スリーブが被覆をかんでいないこと
  • 【ロ.対策】残った先端部分は2mm以下に切り揃える

を心掛けることになります.

心線をリングスリーブで接続する方法

上記欠陥事由やその対策を踏まえた上で,心線をスリーブで接続する方法について説明します.

その前に,どのサイズのスリーブを選べばいいのか知りたいという方は,次の投稿を参照ください.

スリーブに「心線を1本ずつ差し込む」という事はあまりせずに,一つに束ねた状態で差し込むことが多いと思います.

(スリーブを被せた状態で,一部の心線を抜き差しして根元の長さを調整する事はあります)

流れを追って説明すると,

  1. 接続する心線を束ねる
  2. 絶縁被覆と心線の境界が一致するように揃える
  3. 束ねた絶縁被覆がずれないように結束バンドなどで固定する
  4. ここまでの作業を全てのスリーブ接続箇所で完了しておく
  5. リングスリーブ用圧着工具の所定の位置にスリーブを甘噛みさせる
  6. 束ねた心線の被覆境界部に爪を立てながらスリーブを被せる
  7. ずれている被覆があれば,スリーブを強く押し込みながら調整する
    (心線が見える位置までスリーブを戻しておく)
  8. 極端に不揃いな被覆が無ければそのまま強く圧着する
  9. 刻印が正しいことを確認し,次の圧着作業に移る
  10. 全ての圧着作業が終了した時点で,スリーブ上端に出ている心線を切り揃える
    (ペンチ,ニッパ,ストリッパー等を使用して0.5~2mm程度に)
  11. 固定に使用した結束バンド等を全て外す
    (結束バンドの場合はニッパ先端での切断が最適)

となります.

ここで,スリーブの選択,刻印を間違った場合はあせらずに,スリーブの中央辺りで切断してください.

こうすることで10mm程度の心線が残りますので,更に10mm程度の絶縁被覆を剥ぐだけで再圧着が可能となります.

決して【もう一度圧着して刻印を押しなおす】,【小スリーブの上から中スリーブをかぶせる】と言ったリカバリは行わないで下さい.下記一発アウトです.

技能試験に係る「欠陥の判断基準」の圧着に関する箇所を抜粋すると,

  • 6-1.リングスリーブ用圧着工具の使用方法等が適切でないもの
    イ.リングスリーブの選択を誤ったもの(JIS C 2806 準拠)
    ロ.圧着マークが不適正のもの(JIS C 2806 準拠)
    ハ.リングスリーブを破損したもの
    ニ.リングスリーブの先端または末端で,圧着マークの一部が欠けたもの
    ホ.1つのリングスリーブに2つ以上の圧着マークがあるもの
    ヘ.1箇所の接続に2個以上のリングスリーブを使用したもの

の,ホ.,ヘ.に該当してしまいます.

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