第二種技能-33 電線の切断寸法

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電線の加工でいきなり所定の長さ分で全ての電線を切断してしまうのは良く無いと言う説明はしましたが,実際の電線の切断寸法の求め方については書きませんでした.

実際の課題の施工手順を説明する前に,ここで詳しく書いておくことにします.

電線を切断するタイミング

いきなり全ての電線を切断してしまうと,うっかり間違った時に取り返しが付かなくなりますし,この電線は何に使うんだったかなぁと,その都度考えていては時間のロスです.

電線を所定の長さに全て切断しておく のではなく 要素作業ごとに片付ける

事にして下さい.長い電線が順に使用されて徐々に短くなっていくイメージです.

配置寸法と所定の長さ

では,一体「所定の長さ」とはどの長さでしょうか?

いろいろ難しく説明されているサイトをお見かけしますが,余り難しく考える必要はありません.

問題用紙にある配線図に書かれている寸法は「配置寸法」と記載されています.技能試験に係る「欠陥の判断基準」では毎年,候補問題No.12を代表例として説明されていますので,ここにも載せておきます.

配置寸法は,器具の中心から接続ボックス(ジョイント,アウトレット)の中心までの距離で,電線の長さで表されています.上記の例では,150mm,200mmなどがその値になります.

※ 第一種ではタテ・ヨコ別々に指定されますので事情は変わりますが,ここでは忘れてください

所定の長さ(所定寸法)と言う表現をする事は余りありませんが,あえて説明する場合は,配置寸法にジョイントボックスやアウトレットボックス内で電線同士を接続する部分までの長さを加えた寸法としています.

予め,電線を切断してしまう場合は,これに「器具と接続する際に使用される電線の長さ」も含まれることになりますが,このサイトの説明では器具との接続を先に済ませてから電線の長さを測りますので,所定の長さには含めていません.

実際の切断寸法

配置寸法だけでは,器具への接続にどれだけ,ジョイント部分での接続にどれだけが必要かによって,実際の切断寸法は変わってきます.それらを全て覚える必要があるのかどうか?

上図で,ランプレセプタクルやスイッチ,コンセントの位置で配線が立体的に下に折れ曲がっている部分などの寸法は含みませんから,この部分の数字を取り上げて「150mm+50mm+…」等と言う計算は殆ど無意味です.ですから,

配置寸法以外に覚えておくのは「ジョイント部分の100mm」だけ

で大丈夫です.

それでは具体的に順に説明していきます.と,その前に

ボックス分の長さについて

ボックス分とはジョイントボックス,アウトレットボックス内の施工分を意味します.リングスリリーブや差込形コネクタで結線を行う分です.

電線の切断後に行うシース剥ぎの長さについて,以下では

  • ジョイントボックスの場合は100mm
  • アウトレットボックスの場合は120mm

としています.

この20mmの差は,ジョイントボックスの場合は現物が支給されませんので電線を拘束する様な障害がありませんが,アウトレットボックスの場合は現物が支給されますので,その中で電線を扱おうとするとボックスが障害となってしまいます.

ですから,ボックス内での作業をし易くするために絶縁被覆を20mm程度長めに露出するわけです.

ただし,アウトレットボックスから絶縁被覆部分が飛び出すほど深くシースを剥いではだめです.

技能試験に係る「欠陥の判断基準」には欠陥として挙がっていませんが,心線を守る意味でシースをボックス内に納める様にして下さい.

その辺のバランスがいい寸法が「+20mm」という事になります.30mmとする解説もありますが,どちらでも構わないでしょう.+20~30mmと覚えておいて下さい.

では,具体的な説明を再開します.

器具への接続後ボックス分を切断する場合

殆どがこのケースだと思いますので,最初に説明します.配線遮断器や代用端子台も器具と見なします.

  • 器具への接続
  • 配置寸法を測る
  • 仮の印を入れる
  • ボックス分(100mm)を測って切断

器具への接続は過去の記事を確認戴くとして,電線を接続し終えた器具の中心を直尺などの基点(0mmか100mmなど測りやすい位置)にあてがい,配置寸法の150mm等を測ります.

一旦この位置に油性ペンなどで印を入れ,更にボックス分の【100mm】を加えたところで切断します.つまり,

配置寸法+100mm

と言う事になります.この100mmだけは覚えておいて下さい.

いきなり配置寸法+100mm分を測って切断しても構いません.シースを剥ぐ際にもう一度100m分を測定するかどうかだけで,この辺は「流れ」によるところが大きい様に思います.

これで器具への接続を行う場合の説明は終わりですが,実際にはこの後直ぐにシース剥ぎ,絶縁被覆剥ぎを行います.

シース剥ぎはジョイントボックスの場合は100mm分を剥ぎますので,仮の印を入れたところで剥ぎます.

アウトレットボックスの場合は120mmとなりますので,仮の印を入れたところから更に20mm分深い位置でシースを剥ぎます.

この事が事前判っていれば,仮の印を入れずにいきなり「配置寸法+100mm」でも構わないと思います.

ジョイントボックスであれアウトレットボックスであれ,配置寸法に加える長さは100mmで,シース剥ぎ長さが変わるだけです.

施工省略部

施工省略部は次の3種類に分かれます.

  1. ボックスから先が省略される場合
  2. 器具から先が省略される場合

ボックスから先が省略される場合

電源部を省略される場合とランプレセプタクルなどの負荷側を省略される場合がありますが,何れも同じ作業となります.

この配線では器具等への接続が省略されていますので,

  • 配置寸法を測る
  • 仮の印を入れる
  • ボックス分を測って切断

と言う流れになります.ですから先ず,配置寸法を直尺などで計り,油性ペンなどで印を入れます.

さらにその部分から100mm分,加えたところで切断すればOKです.

そのまま続けて,印を入れたところで(あるいは+20mm深く)シース剥ぎを行い,20mm分の絶縁被覆剥ぎを行えば,この電線の加工は終了です.

器具から先が省略される場合

候補問題No.9と13だけは,コンセントからの施工省略と代用端子台からの施工省略ですので,器具への接続が先で,その後のボックス分の100mmは不要となり,配置寸法だけで切りっぱなしとなります.

こう言う単位作業から先に片付けていくといいでしょう.

ボックス間渡り

ジョイントボックスからジョイントボックスやアウトレットボックスの間を配線する場合,このこの電線をボックス間渡りと言ったりしますが,この場合は次の様に単純な切断作業になります.

  • ボックス分の100mm
  • 配置寸法
  • ボックス分の100mm

実際には,100mm+配置寸法+100mm.つまり

配置寸法+200mm

を測って切断するだけです.

その後は,それぞれの端部がジョイントボックスかアウトレットボックスかによってシースを剥ぐ長さを変えるだけになります.

器具間での接続がある場合

候補問題のNo.2,3,5,9の様に,コンセントからコンセント,代用端子台から引掛シーリングと言った器具間での接続がある場合は少し工夫が必要になります.

  • 器具への接続
  • 配置寸法に50mm程度余分を見て切断

この50mm分の余裕だけで,接続後の器具間寸法が所定寸法にピッタリ収まらない場合が有るかも知れませんが,恐らく±20mm以内には収まるでしょう.

技能試験に係る「欠陥の判断基準」には

  • 2-2.寸法(器具にあっては中心からの寸法)が,配線図に示された寸法の 50%以下のもの

が欠陥とされていますので,全く気にすることはありません.


少し長くなってしまいましたが,電線の切断寸法に関する説明は以上になります.

候補問題毎に個別の方法もありますので,その都度説明を加えたいと思いますが,質問等があればコメント欄へお寄せください.頑張ってお答えしていきたいと思います.

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