令和6年度第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針が発表されました

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このブログでは扱わない試験分野ですが,電気技術者試験センターに「令和6年度第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針」が発表されましたのでお知らせしておきます.

昨年の12月にも1日付で発表されましたが,これは異例の事らしく,私も始めて目にしました.

今年は第三種電気主任技術者試験が年2回になり,更にパソコンを用いて行う CBT 方式(Computer Based Testing)の選択も可能になるなど,変革の年だったようです.

世の中がクリーンエネルギーへと変遷していく中,そう言った電気設備の保安監督者たる電気主任技術者不足を解消するための策ではないかと勘ぐるのですが,いかがでしょう?

では昨年発表された問題作成方針とどこが変わったのか見ていこうと思います.

第三種電気主任技術者に求められる知識

令和5年度版

電気主任技術者は、発電所や変電所、工場、ビルなどの受電設備や配線など、
事業用電気工作物の保安・監督に従事し、電気保安に関する総合的知識が求められる。
また、その豊富な知識を活かした製品開発やサービス提供など我が国社会の電気利用を支える技術人材として強固な基盤の形成に携わっている。

令和6年度版

電気主任技術者は、発電所、蓄電所、変電所、工場、ビルなどの受電設備や配線など、
事業用電気工作物の保安・監督に従事し、電気保安に関する総合的知識が求められる。
また、その豊富な知識を活かした製品開発やサービス提供など我が国社会の電気利用を支える技術人材として強固な基盤の形成に携わっている。

蓄電所」が新たに追加されました.

以前から蓄電所そのものを扱う問題も出題されていましたが,昨年12月1日に「電気事業法施行規則等の一部を改正する省令」が施行され,電気事業法に蓄電所が追加され事によるものと思われます.改めて明文化されたと言う事になります.

これに併せて,試験案内の試験内容にも蓄電所が追加されています.時系列を追うと,令和5年度の問題作成方針に記載漏れがあったと言うことでしょうか.

問題の構造(科目と問題分類)

表 科目及び科目の内容、問題数

令和5年度版

電 力
発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

令和6年度版

電 力
発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

これも同じく「蓄電所」が追加され,整合が取れたことになります.

問題の構造(科目と問題分類)の 注1:

令和5年度版

令和4年6月、電気事業法において、①認定高度保安実施設置者に係る認定制度、②小規模事業用電気工作物に係る届出制度等、③登録適合性確認機関による事前確認制度、の3制度が導入され、また、④出力が小さく安全性の高い小出力発電設備が一般用電気工作物に含まれることとなった。

令和6年度版

令和4年6月、電気事業法において、①認定高度保安実施設置者に係る認定制度、②小規模事業用電気工作物に係る届出制度等、③登録適合性確認機関による事前確認制度、の3制度が導入され、また、④出力が小さく安全性の高い小規模発電設備が一般用電気工作物に含まれることとなった。

これは語句の訂正になります.小出力発電設備が小規模発電設備とされました.

これは,令和5年3月20日施工の電気事業法改正により,小出力発電設備が小規模発電設備に名称変更されたことによります.

しかも,この元小出力発電設備だった小規模発電設備のうち「風力発電設備」及び「出力10kW以上の太陽電池発電設備」については新たに「小規模事業用電気工作物」という類型に指定され,事業用電気工作物の自家用電気工作物の扱いとなりました.ややこしい...

しかも,これは電気工事士試験にとって重要なことですが,同時に電気工事士法も改正されたそうで,第二種電気工事士の資格範囲が

従来一般用電気工作物(低圧受電設備及び小出力発電設備)
改正後一般用電気工作物(一般用電気工作物および小規模事業用電気工作物

に変更されています.筆記試験を受験される方は要注意です.

合格基準点、合否判定方法

これについては変更では無く,令和5年度版のフォントが,この項だけ大きくなっていたのを前後に合わせたというだけでした.

出題の範囲(科目別)

【電力科目】で蓄電が追加された以外に変更はありませんでした.


以上が,令和5年度版と令和6年度版の「第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針」に関する相違点でした.

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