第二種技能-08 電線の加工

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いよいよ今回から,実際の作業についての説明を始めます.

まずは,電線の切断の話から.そうです.ただ電線を切断するだけの話.

多くの動画などで解説されている方法は,時間短縮のためと言う理由から,いきなり

    電線を所定の長さに全て切断しておく

という説明が多い様に見受けられます.

この方法の最大の欠点は,

「所定の寸法」を調べて「足し算する」必要がある

と言う事で,そのために「寸法の求め方」などと毎回,丁寧に説明している動画も見かけるというかそれが殆どなのですが,このサイトの記事を読んでいくうちに皆さんは,そう言った作業が全くムダで無意味だと言うことに気付かれることでしょう.

親指の長さが・・・ギュッと握って100mm・・・肘までの長さで・・・

そんな事まで覚えなければならないとなると,技能試験が嫌になりそうだなぁと思いながら,こう言った動画を拝見していました.

VF線ストリッパーを使用して「こんなに早く処理できます」と自慢されている動画も拝見しましたが,まさにこの「電線を所定の長さに全て切断しておく」方法が基準となっています.と言うか,このタイプのストリッパーは一度に作業をこなしていく現場向きの工具ですから仕方の無いことです.だからこの工具を【技能試験に限って】私はお勧めしないのです.

時間短縮のつもりが,かえって時間の無駄という矛盾はさておいても,この方法では,

  • 指定外の電線を誤って切断
  • 長さを誤って切断

と言った間違いを起こしかねません.

結果的にはどちらも【長さ】が足りなくなる問題ですから,それなりにリカバリーはできるのですが,果たして試験場で落ち着いていられるでしょうか?慌てるでしょうねぇ〜

また,切りそろえた後の電線については,

  1. 長さの違う電線を誤って選択
  2. 線種(特に心線の太さ違い)

と言う,致命的なミスを犯しかねません.

1番目のミスは残った電線の長さが違うことに気付いたとき,焦りの原因にもなり得ますが,まだ欠陥に至るほどではないでしょう.

しかし2番めのミスはもはや取り返しのつかない事態となってしまい兼ねません.途中で気づけばやり直しによる大幅な時間ロス.気付かなければ・・・不合格です.

心線の太さの違いって,φ2(2mm径)の電線はすべて青色シース(外装)だから
間違うわけないだろう!

と誰もが思うでしょうが,実際にはこういった間違いが結構発生しているそうです.恐らく,200V電源の配線を普通の灰色シースのVVF 2.0-2Cで配線し,100V電源の配線をするときに間違いに気づくも手遅れだったと言うケースが一番多いのかも知れません.

このようなリスクを負ってまで時間短縮する意味は本当にあるのでしょうか?

この後に続く要素作業の一つ一つを着実にこなせるようになれば,誰でも25分以内に課題を完成できます.13候補課題のどれもが25分以内に完成できるのです.安心して下さい.

ではどういう作業方法がいいのかと言うと,「要素作業ごとに片付ける」方法に尽きると私は思っています.これが結局一番速い.この方法の場合,更に大きなメリットがあるのですが,その話はまた後で.

註:心線は【心】は本来【芯】だったのですが,常用漢字ではなかったのでJISでの表記も心線となったことから,多くの媒体では心線と表記されることとなり,そもそも出題側の試験センターの表記でも心線ですので,今後も心線と表記します.
ただ,最近になって芯が常用漢字に追加されたそうですから,今後は【芯線】と言う表記が現れるかも知れません.

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