第二種技能-14 アウトレットボックス

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アウトレットボックスへの穴明け

技能試験で支給されるアウトレットボックスには,配線を通す穴が既に指定された場所のみ明けられていますので,この項の作業は不要です.

しかし購入直後のアウトレットボックスには,未だ配線を通すための穴が明けられていません.実務では必ず行う作業ですので,一応経験としての穴明け作業を行ってみましょう.

先ず,穴を明けたい部分(以下ノックアウト)を上にして作業台の上に置き,ノックアウトのつながっていない側のやや中央よりにマイナスドライバーをあてがい,木槌で軽く叩きます.

すると,ノックアウトの端部が外れて,一部がつながっている状態になりますので,外れた部分をペンチでつかみ,前後させながら切り取ります.

この時,ペンチで捻じ切ろうとすると,破断した部分が尖ったりして危険ですので,ペキペキと折返しながら切り落とすのがコツです.

先の尖ったハンマーやペンチの頭で「エイヤッ」と打ち抜く動画も拝見しますが,これには慣れが必要です.実務的ではありますが,技能試験練習のためだけに一度しか行わない作業では危険な方法です.上記した方法で,慌てずゆっくり行いましょう.

また,折角買ったんだからウォーターポンププライヤーをどうしても使いたいのか,同工具をアウトレットボックスの上部からノックアウト部分に引っ掛けて掴むようにして打ち抜く方法を紹介している動画を拝見しましたが,決して真似をしませんように.アウトレットボックスが歪んでしまします.

技能試験で使用するアウトレットボックスには蓋が附属していませんが,実務では蓋をネジ止めします.この時にアウトレットボックス本体が歪んでいては蓋が閉まりませんし,閉まったとしても隙間だらけになってしまいます.

ゴムブッシングの取付け位置

ゴムブッシングはアウトレットボックスの指定された電線の挿入口に取り付けますが,そのアウトレットボックスは「使い回す」事になりますので,候補問題の練習をするうちに全ての穴が空いている状態になってしまいます.

私は最初に全て明けてしまいました.

ゴムブッシングをどの位置に取り付けるかも審査対象ですので,課題ごとに指定の穴位置で作業できないと困ります.ゴムブッシングを正しい位置にはめる作業.これも一つの要素作業ですので.

対策としては,私の場合はブッシングの「切り込みを入れる」作業は一回で習得できたこともあり,切り込みを入れていないブッシングを「使用しない穴」を塞ぐために使用しました.

しかし,この方法も紛らわしいので

全く別タイプのブッシングで「使用しない穴」を塞いでおく

ことを推奨します.

これに相応しいブッシングが白いブッシングですが,ゴム製は高めですのでホームセンター等を探し歩いてみて下さい.

色が違えば何色でもいいと思いますが,外したり別の場所を塞いだりしますので,硬質プラスチック系はやめておいた方がいいと思います.少々のことでは外れません.

何もわざわざこのためだけに買う必要も無くて,黒のゴムブッシングに白いシールを貼っておくというのもアイデアかと思います.

ゴムブッシングの取付け方

ゴムブッシングをノックアウト穴に取り付けるには少しコツが要ります.

取り付ける向きはどちらでも構わないそうですが,技能試験で使用されるゴムブッシングは恐らく共和工業製だと思いますが,明らかに表裏が有ります.

後で説明する【切れ込みを入れる】際に作業しやすい方が表とだとして,そちらを外向きに取り付けるべきだと個人的には思っています.

裏側には凹みが有りますので,そちらを外側にするとアウトレットボックスを現場に設置後,その部分に埃や水分が溜まる恐れがあると想像するからです.

前置きはこれぐらいにして,取付け方でしたね.

作業の方法としては,嵌め込み方と言った方がいいかもしれません.と言うのも,ゴムブッシングをノックアウト穴にねじ込むようにして取り付ける事になるからです.

この時,とりあえず一箇所を穴に押し込んで,親指などで全体をぐるっと押し込むような動作をすると嵌まり込んでくれます.

たまに押し込みすぎて反対側に飛び出しますが,ゴムブッシングを親指と人差し指で挟んだ状態でグリグリと廻すことで,ゴムブッシングの溝がノックアウト穴に上手く嵌まってくれます.こればかりは慣れですので,何度も練習してください.

ゴムブッシングへの切れ込みの入れ方

敢えて後廻しにしましたが,ゴムブッシングへの切れ込みの入れ方については殆どの方が「電工ナイフで十字に切れ込みを入れる」と説明されています.

実務ではどうしているかというと,ドライバーでブスッと明ける事も有るぐらい適当です.そう言う適当なやり方は後で覚えましょう.

ゴムブッシングに穴を明けるためだけに電工ナイフを購入して,試験会場に持ち込むのも馬鹿げていますので,電工ナイフを他に使用されないのならニッパでの作業をお勧めします.ニッパを使うことは無いという方は,電工ナイフの方が荷物にならないのでいいと思います.

ニッパをお勧めする理由は二つあります.

  • はずみで切りすぎることが無い
  • 他のものを傷つけない

電工ナイフでは,ゴムブッシングを机(試験会場では保護板(板紙)と称される厚紙)に押しつけて切り込むのですが,力余って切り込みすぎる場合や,下にある物を傷つけたりしてしまいます.

ニッパを使う場合では,片手でゴムブッシングを二つ折りにしてつまんで,真ん中をプチッ!,90°向きを変えて再度二つ折りにしてプチッ!と切るだけですので,切りすぎることも無く,空中でお作業のため他のものを傷つけることはありません.何よりも静かだ!

切れ込みは水平に一回(一文字)行えば十分ですが,一応十字(十文字)に切っておいた方がケーブルを差し込み易いのでお勧めします.

一文字の場合は,十文字に比べてやや抵抗が掛かるため,試験会場の雰囲気でアドレナリンが過剰放出されて,ゴムブッシングもろともアウトレットボックス内に押し出してしまう事さえ有ります.何が起こるか判りません.用心するに越したことはありません.

すっかり長くなってしまいました.

これで,準備完了です.いよいよ次回からは「電線の接続」に入っていきます.

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