第二種技能-11 シース剥ぎ2

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前回は,一般的な電線でのシース剥ぎについて説明しましたが,今回は少し厄介な以下の電線のシース剥ぎについて説明したいと思います.

  • EM-EEF 2.0-2C (エコケーブル)
  • VVR 1.6-2C
  • VVR 2.0-2C

エコケーブルのシース剥ぎ

前回のケーブルは,シースや絶縁被覆がPVC(PolyVinyl Chloride).つまりポリ塩化ビニルが使用されていましたので,シース剥ぎもサクッと切断できました.因みにVVFとは,検索すると

Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable

ところが,PVCには焼却時のダイオキシン発生による大気汚染問題,可塑剤溶出時の環境ホルモン問題などから,環境に優しい素材を使った所謂「エコケーブル」が使用されるようになっています.と言っても,私は殆ど目にしませんが...

エコケーブルの正式名称は EM-EEF.つまり,これも検索してみると

EcoMaterial – polyEthlene insulated poliyEthlene sheathed Flat-type calbe

とのことで,日本語では「ポリエチレン絶縁耐燃ポリエチレンシースケーブル(平形)」となります.

このポリエチレンが結構しぶとくて,ストリッパーでは容易に剥ぎ取れない事があります.当たり外れがあるようで,VVF並に剥ぎ取れる物や「薄皮がしっかり残ってしまう」物まであります.ザクッと言う感触はあるのですが,上手くちぎれてくれません.

ですから,この時ばかりは前回「お勧めしません」と言っていた,左の親指でストリッパーを押すと言う動作を加えた方が「プチッ」とシースが切れてくれるようです.

しかし,ストリッパーでそのままシースを掴んで剥ぎ取る様なことは止めておきましょう.

シースがしっかり切断できたことを確認できれば,ストリッパーを外し,右(左)手でシースを取り除くようにすれば大丈夫です.更に親指の爪を差し込めば,一部残っていた薄皮もプチッと音を立ててちぎれてくれます.

この時,結構白い粉が付着してきますが,これは難燃成分の水酸化マグネシウムと二酸化炭素とが反応して生じる「炭酸マグネシウム」だそうです.

この白い粉がシースと絶縁被覆のスベリをよくしてしまって,残った側のシースから絶縁被覆がすべって動いてしまい,シースを引き抜いた勢いで絶縁被覆までゴッソリ抜けてしまうと言う事も起こり得ます.

このエコケーブルの支給長さは300mm以下と短いため,上のような現象は高い確率で起こり得ます.

ですから,シースを剥ごうとする側の反対側の端を10mm程度ペンチで掴んで,90°程度にしっかりと折り曲げておきましょう.この様にすることでシースと被覆との摩擦が強くなり,絶縁被覆が抜けてしまうことを防ぐことが出来ます.

曲げた部分を元に戻さなくても欠陥にはなりませんので,施工省略となる電線端は折り曲げておく様にしましょう.

VVRのシース剥ぎ

VVRの場合,一見するとVVFの様にストリッパーではシース剥ぎが出来ない様に思えますが,少し慣れればストリッパーでも大丈夫です.

なお,私のブログの表題にもある通りあくまでも「電気工事士への近道」ですので,とにかく「技能試験に受かる」事だけを目指しています.ですから,ここから先の説明は「実践ではお勧めできない方法である」事もご承知願います.

前置きはこのくらいにして,実際にどうやってVVRのシース剥ぎを行うかというと,

  • VVR 1.6-2C は,ストリッパーのシース剥ぎ部の【1.6×2】の位置
  • VVR 2.0-2C は,ストリッパーのシース剥ぎ部の【2.0×2】の位置

で行います.

ただし一つだけ注意事項があって,ストリッパーを「強く握らずに刃が入った感覚があったところで止める」様にして下さい.こうすることで,絶縁被覆を傷つけずにシースにのみ「切れ込み」が入ります.

つまり,この時点では未だシースが切断できていません.少し残して切れ込みが入っただけです.

ひとまずここでストリッパーを外し,切れ込みが入ったシースを手で掴んで「回し切り」を行います.意外なほど簡単に「プチッ」と音を立ててシースがちぎれてくれますので,後はそのまま引き抜くだけです.

VVRの支給長さは300mm程度と短いため,切断したシースを引き抜く際に絶縁被覆や介在物が一緒に引っ張られる場合がありますので,「施工省略」となる他方をペンチなどで90°に曲げておくといいでしょう.この曲げた部分は,そのままにしておいても欠点にはなりません.

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