第二種技能-10 シース剥ぎ1

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それでは実際に,電線のシース(外装)剥ぎについて説明します.

今回は基本的な作業の説明と言うことで,VVFストリッパー(以下,単にストリッパーと表記)を用いた次の電線のシース剥ぎを例にします.

  • VVF 1.6-2C および -3C
  • VVF 2.0-2C および -3C(含:黒・赤・緑)

今後は全て「右利き」での作業について説明していますが,「左利き」の方でも同様の作業は出来ますが,動きが左右で異なりますので,右手の動きと照らしながら調整してみて下さい.例えば「上がる」という表現は「下がる」となります.

ストリッパーの持ち方

ストリッパーの持ち手を握り,小指を内側に入れて開閉する様にして操作します.この握り方,操作方法はペンチやニッパでも同じ(薬指で開閉する場合もある)ですので,早めに慣れるようにして下さい.ストリッパーは表裏の構造が同じですので,向きが一目で判る様に黄色の結束バンドで目印を追加しています.

利き手に関係なく,心線の太さが記載された側を内側にするといいと思います.

ストリッパーと電線の位置

ストリッパーのシース剥ぎ位置は,先端側から2.0×3,2.0×2,1.6×3,1.6×2の4箇所がありますが,シースを剥ごうとしている電線の種類を間違わずに正しい位置に差し込めるように慣れて下さい.慌ててこの位置を間違うと,その先のリカバリーが大変なことに.

先程の持ち方で,心線の太さが記載された側を内側にして握るのはこのためです.

特に心線の線径が2.0mmの電線を線径1.6mmの位置に差し込んでシース剥ぎを行うと,心線が大きく傷つきます.

心線が3本の電線を2本の心線位置に差し込もうとしても抵抗があるので気付きますが,逆に心線が2本の電線を3本の心線位置に差し込もうとすると差し込めますので,この時も心線を大きく傷つけます.どちらかに寄せれば心線を傷つけずにシース剥ぎが出来なくもありませんが,リスクを回避する為にも常日頃から「要確認」を忘れずに.

シースの正しい剥ぎ方

シースを剥ごうとする電線は,ストリッパーに対して前後,上下が垂直となるようにまっすぐに差し込んで下さい.ずれているとシースが上手く剥ぎ取れません.

次に,差し込んだ電線は強く握りしめずに軽く持つことが重要で,ストリッパーを強く握りしめてシースを切断する際,剥ぎ取られる方の電線がお辞儀をする様に頭を下げる感触を確認するようにして下さい.

次いで,頭を下げた剥ぎ取られるべきシース側を左手の人差し指でストリッパーの上から「持ち上げる」動作をすると,シースは確実に切断されます.慣れてくると,右手を左回転させる動きで左手の動きは不要となりますが,言葉では難しい・・・何れ動画で説明したいと思います.

この時点でストリッパーは不要ですので電線から外し,電線から切断されたシースを右手で引き抜いて下さい.切断部に親指の爪を押し込むと確実に把持できます.

この一連の動作は,多くの動画でも解説されていませんが最も確実で,素早い作業になりますので体得されることをお勧めします.

ストリッパーで切断動作をした後,左手の親指でストリッパーを押し込む事で,シースを切断.その後,シースをストリッパーで軽く甘噛みした状態で引き剥がすと言う流れを説明されている動画を多く見ますが,慣れないうちはあまりお勧めできません.

慣れてくれば,この様な方法でも時短に有効ですので取り入れてもいいと思いますが,最初のうちは急がば回れで,確実な方法を身につけましょう.

絶縁被覆上をストリッパーのシース剥ぎのための刃が滑ることで,被覆には傷が付き,刃の摩耗も早まってしまいます.絶縁被覆も弧を描いて曲がりやすくなります.

シースを切断したままの状態でストリッパーを滑らせてシースを抜き取るなどと言う方法は以ての外で,絶縁被覆にもストリッパーの刃にも傷が入ると言う間違った方法ですので,絶対に真似をしないで下さい.

変なクセが付く前に,最初から正しい方法を身につけて下さい.

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