いよいよ,実際の接続作業に入ります.
片切スイッチの構造
片切スイッチの黒印が有る側を右にした状態で左右に裏返した面には,心線を挿入する穴が4箇所設けられています.
更によく見ると,左上に何やら配線図のような物が見えます.これが片切スイッチの内部結線図になっていて,
- 上下の穴は左右別々に内部で短絡していること(上下は電気的に同じ)
- 左右の穴は片側(下側)でスイッチ動作すること
を示しています.この事を理解しておくと,この先で登場する渡り線をどこに挿すかという事が判断しやすいと思います.
つまり,左側のどちらに挿しても電気的には同じで,右側も同じ事が言えます.しかし,左右の穴は入口と出口の関係にあって,同じでは有りません.左に非接地線が入れば右からは負荷に向かう線が出ていくことになります.このように,
片切スイッチには極性がありません
逆でも構いませんが,この様に裏返した状態で「黒線は(表が)黒印の方に挿す」と覚えておくと迷わなくても済みますので,今後は「黒線は黒印側」で統一して説明します.
そうすると必然的に「黒印の反対側は(緑以外)何色でも構わない」となります.
技能試験の課題には単線図が描かれていて,この図に沿って配線をすすめていくわけですが,片切スイッチは黒丸:●で表記されています.よく ●イ 等と表記されていることが多いですねぇ.イは負荷:イ(ランプレセプタクル等)に向かう事を表していることはご存じのことと思います.
この黒印に黒(非接地線)を挿して,何色でもいいので「イ」に向かう負荷線を反対側に挿す.ということになります.これで迷わずに済みます.
では,挿入穴へ心線を挿す手順ですが,細かく分けると
- シース剥ぎ
- 絶縁被覆剥ぎ
- 心線挿入
- 整え作業
の4段階となります.
シース剥ぎ1で説明した方法で以下の寸法を目安にシースを剥ぐと綺麗に整います.
埋込連用取付枠に取り付ける場合
- 下段に取り付ける場合 100mm
- 中央に取り付ける場合 80mm
- 上段に取り付ける場合 60mm
※ シースの側を上段としています.
埋込連用取付枠に取り付けない場合
- 50 〜 100mm (50mm程度が整う)
この様に20mm毎の差を付けることでスッキリと整う事から,私はこの方法を勧めたいのですが,面倒であれば全て 100mmでも構いません.覚えることは少ないに越したことはありません.
それでは,この100mmと言う数字の意味を説明します.
スイッチ類は埋込連用取付枠に取り付けて使用することを想定されているのですが,その埋込連用取付枠は通常,スイッチボックスと呼ばれるプラスチック(又は金属)製の箱に取り付けて,このスイッチボックス内で配線します.
したがって,そのエリアは結構狭く,ケーブルはできるだけ絶縁被覆だけにしておきたいという事情があります.
スイッチボックスにもアウトレットボックスの様なノックアウト穴が有って,その穴から引き出してきたケーブルのシースを剥いで,スイッチにつなぐのが通常の作業となるのですが,シースを剥ぎすぎるとシースの無い絶縁被覆がノックアウト穴に触れて損傷する恐れがあります.
これを防ぐ為には,シース剥ぎをできるだけ少なくして絶縁被覆を保護する必要があります.
一方,シース剥ぎが少なすぎると,ケーブルを曲げるなどの作業も加わり,スイッチボックス内での配線処理が難しくなってしまいます.
そこで,ちょうど適当なシース剥ぎ長さが100mm程度だという事になるわけです.
ですから,この100mmと言う数字は実務的な経験上の数字ですので,技能試験では特に規定はされていません.何ミリでも構わないことになっています.
しかし,あまり極端に剥いでしまうと,その作品が不自然に感じられて詳しく審査される可能性が高まる恐れがありますので,適度な長さとして100mmを覚えておくと良いでしょう.
もう一度言いますが,器具との接続でシースを剥ぐ長さに規定はありません.
リングスリーブで結線する際には規定がありますが,それはまた別の投稿で説明します.
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