第二種技能-17 スイッチについて

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スイッチとは「電気の流れを入・切する器具」の事で,内線規定では「点滅器」となっています.例えば,

押釦(ボタン)スイッチ タンブラスイッチ ロータリースイッチ

等があります.

第二種技能試験で使用されるスイッチは全てタンブラスイッチです.

何れもパナソニック製の「(埋込連用)タンブラスイッチ」で,次の4種類になります.
(画像は全てパナソニック社のカタログから転載)

以下の図中,◎は心線の挿入孔(穴)を表し,内部配線でつながっている穴同士は「短絡」しています.つまり,短絡している穴のどちらに心線を挿しても電気的には同じという意味です.

片切スイッチ

片切には蛍スイッチと呼ばれる「電源が【切】で内蔵のネオン管が点灯する」タイプがありますが,これも記号はBです.回路図では【●H】で表されるアレです.スイッチ部分の黒印が緑のランプになっているので判ります.図の【橙NL】の部分です.

片切スイッチの裏と内部配線図
蛍スイッチの裏と内部配線図

何故【片切】かというと,実は【両切】というタンブラスイッチも有って,両切スイッチは,非接地側と接地側の二つの接点を同時に入・切するのに対して,片切スイッチは非接地側つまり「片方の接点」だけで入・切すると言う意味でこう呼ばれているそうです.

接地側で入・切する方法も「電気的」にはあり得ます(内線規定では「電路の電圧側に施設するのがよい」と書かれています)が,【切】状態でも負荷に電圧が印可されたまままになり,触れると感電してしまい危険ですので,特殊な例を除いて非接地側で入・切する事になっています.

スイッチが非接地側

  • 非接地(ive)側には電圧が印可されているので,図の赤い線が「活線状態」
  • スイッチより後は,未だ電気が流れていないのでどこに触れても感電しない

スイッチが接地側

  • 非接地側には電圧が印可されているので,図の赤い線が「活線状態」
  • スイッチより後は,未だ電気が流れていないのでどこに触れても感電しない
  • スイッチの入・切に関係なく,負荷には電圧が印可され状態(図の赤い線)

つまり,負荷の前後を含めいたるところが活線状態で感電の可能性があるため,非常に危険です.

両切スイッチは両極を同時に遮断できるので,より安全を重視する場合(単相三線式200V回路)に使用されますが,安全ブレーカ(配線用遮断器の一種)をイメージされるといいでしょう.

両切りスイッチの裏と内部配線図

両切りスイッチは第一種技能試験で登場します.

3路スイッチ

「3つの路(みち)」と言う名の通り,配線する際に3個の穴を使用します.

3路スイッチも電気的には片切スイッチと同じですが,電気の流れを一方向から2方向に切り換える働きとして使用されます.

3路スイッチの裏と内部配線図

実際には,異なる場所から同じ負荷を点滅させるために使用され,それぞれの場所に3路スイッチを取り付けます.階段の1階と2階で照明を点滅させたい時によく使われます.

負荷への導通が無い時に,どちらかの3路スイッチを倒すと点灯しますが,他方の3路スイッチを倒すことで消灯できます.こういった動作をどちらからでも行えるのが3路スイッチの特徴で,配線方法にも特徴が有ります.図で表すとこのようになります.

 ※ 便宜上,白線を水色線で代用表記しています

3路スイッチの接続方法

L:非接地側からの黒線は指定されますが,「0」と表記された上下の穴であればどちらに挿しても構いません.内部結線図を見ても短絡されています.

一方の3路スイッチで「1」と「3」の穴に挿した電線は,他方の3路スイッチで「1」と「3」のどちらに挿しても構いません.線色も指定されません.

負荷側に出る電線は何色でも構いませんが,図では3心線タイプのケーブルを使用したとして黒線にしてあります.「0」と「1」が黒,白で「0」にも黒と白を挿して,2系統の負荷に給電するという場合もありますし,パイロットランプをつないで【点灯表示】させることも可能です.

3路スイッチは,2個の片切スイッチで代用できますが操作が煩雑になります.また,3路スイッチで片切スイッチを代用する事も出来ますが,費用が高く割に合いません.

4路スイッチ

4路スイッチは3路スイッチの中継役として使用されます.「4つの路」と言っても電気の流れを1方向から3方向に切り換えるのではありません.

4路スイッチの裏と内部配線図

二方向からの電路をそのままかあるいは反転させる,つまり一方から来た2本の電線をA,Bとすると,A,Bのまま通す経路と,B,Aに反転させて通す経路を切り換える働きがあり,3路スイッチの間に置く事で,一方の3路で「点灯/消灯」していた負荷を他方3路で「消灯/点灯」でき,またこの負荷を途中の4路スイッチでも「点滅」させることが出来ます.

大きなフロアーの入口と出口,玄関や制御室等の組合せでよく使われます.

文字で書くとややこしいので,図を載せておきます.

3路スイッチからの線色をあわせる必要はなく,「1」と「3」,「2」と「4」でペアとなるように配線します.

4路スイッチを増やすことで,4箇所以上でも負荷を点滅させることが出来ます.

4路スイッチは,穴を一箇所だけ使わなければ3路スイッチの代用にはなります.しかしこれも費用が高く付くだけで意味が有りません.

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