今回は,シース剥ぎの番外編です.
VVRの介在物除去
前回の説明では触れませんでしたが,VVRケーブルの場合,シース剥ぎとは別に介在物の除去作業が追加されます.
作業と言っても「絶対に除去しなければならない」訳ではないので,そのままにしておいても良いのですが,その後の作業の邪魔でしかありませんので適当に除去するようにして下さい.そうです.適当にです.キッチリとこうでなければならないと言う規定はありません.むしろ「介在物が抜けたもの」はハッキリと「欠陥」として判断するとなっています.
実際の作業としては,先ず介在物を押さえるために巻かれているテープ(セロハンや不織布など)を解いてニッパなどで切断除去します.カッターナイフが便利ですが,ケガに注意して下さい.
次に,介在物を解いてニッパなどで切断除去します.ペンチなどでも切断できますが,ニッパが最も綺麗に除去できます.
おまけ
以上でほぼ,シース剥ぎの要素作業は終わりですが,より「技能試験」に特化した裏技的なテクニックを含めたVVRのシース剥ぎをご紹介しておこうと思います.
本シリーズの最初の投稿でも紹介させて戴いた動画サイトからの情報が主ですので,詳しくはそちらをご覧戴ければと思います.
1.被覆を戻す方法
ストリッパーでシースを剥いだ際,絶縁被覆のキズが気になった時のリカバリー術です.
- 他端のシースを10mm程剥ぐ
- 現れた絶縁被覆を10mm程引き抜く
- 他端のシースのキワで,絶縁被覆を切断除去する
この方法では,本来必要とする絶縁被覆の長さが約10mm分短くなるので,事前に長めにシース剥ぎをしておくと収まりがいいですが,10mmですから気にしなくても良いレベルです.
この方法は,技能試験に提供される電線が短いが故に行える方法です.
2.介在物と共に引き抜く方法
これはかなり思い切った方法です.
- シースを少しだけ(10mm程度)剥ぐ
- 介在物と一緒に絶縁被覆を「所望する長さ」だけ引き抜く
- 介在物の除去をする
- 他端は介在物と絶縁被覆がないシースだけになっているので,その部分を切断
この方法も,技能試験に提供される電線が短いが故に行える方法です.
絶縁被覆のキズ入りの心配も要りません.
3.介在物と共に押し出す方法
これは,失敗するとグチャグチャになるのであまりお勧めしませんが,シース剥ぎする側とは反対の端から,プラスドライバーを押し込んで本来の側へ介在物と共に絶縁被覆を所望する長さになるまで押し出す方法です.
その後の処理は,2.の方法と同じです.もちろん,絶縁被覆へのキズ入りはありません.
4.回転式ケーブルストリッパーを使用する方法
この方法は前記した3例とは違って,実用的で正しい作業方法です.
ただ,この作業のためだけに回転式ケーブルストリッパーを用意するのは気が引けるので,最後にしました.
この様なストリッパーは,第一種電気工事士技能試験では「あると非常に便利」な工具ですが,やや高めでしかも丸形のケーブルにのみにしか使い道がない物です.
各社から販売されていますので,ここに載せておきます.
マーベル MC-012 デンサン ND-800 ベッセル 3700KM ロブテックス CS28
私は,第一種技能試験に向けてマーベルの物を購入しましたが正直言って失敗でした.
あらためてお勧めするのなら,デンサンの ND-800 ですねぇ.とにかくマーベル以外がいいと思います.
マーベルの MC-012 が何故ダメかというと,絶縁被覆に傷を入れる刃の出具合(出代)を調整するダイヤルが「持ち手の表面」に剥き出しになっているため,使ううちにこのダイヤルが回って刃の出代が変わってしまうからです.
私は仕方なく「技能試験に特化」すると割り切って,このダイヤルの上をテープ巻きして動かなくして使用していました.
このタイプのストリッパーは使うコツが要るのですが,第一種技能試験対策で触れさせて戴きます.
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