第二種技能-25 差込形コネクタによる接続

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器具への心線挿入についての説明は前回で終了し,いよいよ心線同士の「接続」について3回に分けて説明していきます.

差込形コネクタについて

電気工事士技能試験に使用される差込形電線コネクタ(以下,差込形コネクタ)は,過去10年間分を調査した結果,全てニチフ製のクイックロック(QLXシリーズ)でした.

QLX2
QLX3
QLX4

ネット動画などでは,WAGO(ワゴジャパン)製のコネクタで説明されているケースを多く見かけますが,心線を挿入する硬さ具合(特にVVF 2.0)や,先端部での心線の見え具合を身につけるためにも,練習時からニチフ製を使用されることをお勧めします.

心線長さ・・・ストリップゲージ

ニチフ製の差込形コネクタには何れもストリップゲージが型押しされていて,心線の長さをこのゲージに合わせて絶縁被覆を剥ぎ取れば正しい長さになるように工夫されています.

また,この【11~13mm】という数字に引きずられて,ほとんどの動画では「ペンチの幅で切り揃えればちょうど12mmになります」などと説明しています.

間違いではないのですが,使用するペンチによって切り揃えられる長さが違ってきますので,やや説明不足かなぁと思われる節があります.

この事は後で説明するとして,ちょっとその前に...

正しい心線長さ

ニチフが推奨している心線長さはあくまでも「実務的」な【安全重視】の数値になります.ですから,【11~13mm】は間違いではありません.

しかし,電気工事士の技能試験では【欠陥の判断基準に該当しないこと】が最も大事だという事を忘れてはなりません.つまり,技能試験に係る「欠陥の判断基準」によると

  • 7-1.コネクタの先端部分を真横から目視して心線が見えないもの
  • 7-2.コネクタの下端部分を真横から目視して心線が見えるもの

は欠陥になってしまいます.

7-1.は,心線の長さが「短すぎた」か「奥まで押し込めてなかった」事が原因です.

心線長さが短すぎた場合は当たり前ですが,既に2.0mm径の心線が差し込まれているところへ更に2.0mm径の心線を差し込もうとすると,絶縁被覆同士の摩擦によって奥まで差し込みにくいことがあります.

この事が原因で「ちゃんと12mmで切り揃えたはずなのに透明カバー部分に少ししか心線が見えない」事が起こり得ます.非常に気がかりな事態です.

これは,1.6mm径の心線同士では起こり難い現象ですので,試験中に初めて遭遇すると大変.

そう言う事の無いように,私は

差込形コネクタの心線長さ13~15mm

を推奨します.

こんな事を言うと,7-2.の欠陥になってしまうじゃないか!と思われるかも知れません.

実は,差込形コネクタの全長は20.5mmで,心線を突き当てる部分から挿入口までの長さも20mmも有ります.

心線を奥にしっかりと差し込んで,この【コネクタの下端部分を真横から目視して心線が見える】状態となるには,心線の長さが20mm以上も必用と言う事になります.

ですから,心線長さをギリギリの12mmで揃えるのでは無く,余裕を見込んで

差込形コネクタの心線長さ:13~15mm

とするのが合格への近道と考えるのです.

ここでどうしても12mmにこだわりたいと言う方は,差込形コネクタに「全ての心線を同時」に差し込むと,奥までしっかり押し込めますので,その事を心がけて下さい.

13mmに切り揃えるタイミング

リングスリーブでの接続を兼ねて,

最初に絶縁被覆を20mm剥ぐ

と言う作業までは正しいと思います.勿論,「差込コネクタ」しか使用しないことが判っている(例年の)候補問題No.4の200V電源側では,最初からストリッパーの目盛などで13mmに切り揃えればいいと思いますが,殆どの場合リングスリーブか差込形コネクタかは,当日の課題を見て初めて知ることになります.

ですから,覚えることを最小限に抑える為には

接続側の絶縁被覆は最初から20mm剥いでおく

と言う作業で始めることになります.

いよいよ差込コネクタでの接続だと判った時点で,13mmに切り揃えればいいでしょう.

差込小型コネクタ用に心線を切り揃える方法

それでは,具体的な切り揃え方を説明します.

ストリーパーの目盛にあてがってと言う方法は特に説明する必用は無いと思いますので,ここではペンチを利用する方法に特化します.

図のように,心線の先端がペンチの「ぎんなん」の方向から「刃」の方向に向かうように差し込み,絶縁被覆がペンチの端に当たるところで,心線の先端を切り落とします.

ケイバ FC-108(200mm)
ケイバ FC-108(200mm)

このとき,公称長さが200mmのペンチ(例えばケイバ FC-108)であれば,その幅は14mmで1mm内側に刃があるため,ぎんなん側からの深さは「約13mm」となります.

この様にして切断した心線長さは一様に約13mmとなります.

少し安全を見て,絶縁被覆がペンチ端にギリギリ当たらない様にすれば14mm程度を確保出来ます.

しかし,セット物を購入された方の殆どは公称長さが175mmのペンチだと思いますので,刃までの深さが約12mmとなって,この場合の心線長さも約12mmになります.

この数字を「ペンチの幅で切り揃えればちょうど12mmになります」と,殆どの動画で説明されているのです.

しかし先程も書きましたように,この12mmと言う数字は「危なっかしい」ので,175mmのペンチでも約13mmの切断長さとなるように工夫すべきだと思います.

そこで私が試してみて上手く言った方法があります.

ペンチにあてがう時に絶縁被覆の端に爪を立てる

と,切断後の心線長さが約13~14mmとなりました.

実際には19mm位までは「真横から見て下端部分から心線が見える」事は無いので,この14mmと言う長さでも大丈夫です.

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