心線同士の「接続」で残すはいよいよ【リングスリーブ】です.リングスリーブに関しては2回に分けて説明していこうと思います.
この記事では「接続」そのものについて,次の記事は「リングスリーブの選択」になります.
リングスリーブについて
電気工事士技能試験に使用されるリングスリーブは,恐らく全てニチフ製だと思われます.
差込形コネクタとは違って,【E形リングスリーブ(圧着端子)】と言うカテゴリのものであれば,メーカは問わないと思います.
ただし,この圧着端子の規格:JIS C 2806 では,長さを「10mm以上」とだけ規定しており,制限がありません.
一方,ニチフ製のリングスリーブの長さは【10.5mm】ですので,過去の課題とも照らし合わせて「リングスリーブ長さは【10.5mm】のものを選択して練習すべきと思います.
また,リングスリーブにはサイズ別に小,中,大の3種類がありますが,今後はこれらを小スリーブ,中リーブ,大スリーブと呼ぶことにします.技能試験では大スリーブは登場しません.
また,総称としてもスリーブと略記します.業界ではリンスリとも呼称するそうです.
心線長さ
電気工事の技能試験に向けての解説では,スリーブでの接続時は「心線長さを20mm」としている様です.ここでも同じく「約20mm」としています.結構アバウトでいいと思います.
実務的には極力「ゴミ,ムダを少なく」すると言う意味も有って,スリーブでの接続時は心線長さを12~13mm程度に抑えます.スリーブ長さ+2~3mmですね.
接続する心線の数が多くなる場合などは,更に1~2mm長くしますが,この辺は経験に依るところが大きい様です.
技能試験に係る「欠陥の判断基準」の心線長さに関する箇所を抜粋すると,
- 6-2.心線の端末処理が適切でないもの
イ.リングスリーブを上から目視して,接続する心線の先端が一本でも見えないもの
ロ.リングスリーブの上端から心線が 5mm 以上露出したもの
ハ.絶縁被覆のむき過ぎで,リングスリーブの下端から心線が 10mm 以上露出したもの
ホ.絶縁被覆の上から圧着したもの
が欠陥事由とされます.
ですから,試験対策としては一連の流れで言うと
- 【イ.対策】事前に余裕のある長さに絶縁被覆を剥ぐ・・・約20mm
- 【ハ.対策】心線の根元の露出が3mm以下になるようスリーブに差し込む
- 【ホ.対策】この時,スリーブが被覆をかんでいないこと
- 【ロ.対策】残った先端部分は2mm以下に切り揃える
を心掛けることになります.
心線をリングスリーブで接続する方法
上記欠陥事由やその対策を踏まえた上で,心線をスリーブで接続する方法について説明します.
その前に,どのサイズのスリーブを選べばいいのか知りたいという方は,次の投稿を参照ください.
スリーブに「心線を1本ずつ差し込む」という事はあまりせずに,一つに束ねた状態で差し込むことが多いと思います.
(スリーブを被せた状態で,一部の心線を抜き差しして根元の長さを調整する事はあります)
流れを追って説明すると,
- 接続する心線を束ねる
- 絶縁被覆と心線の境界が一致するように揃える
- 束ねた絶縁被覆がずれないように結束バンドなどで固定する
- ここまでの作業を全てのスリーブ接続箇所で完了しておく
- リングスリーブ用圧着工具の所定の位置にスリーブを甘噛みさせる
- 束ねた心線の被覆境界部に爪を立てながらスリーブを被せる
- ずれている被覆があれば,スリーブを強く押し込みながら調整する
(心線が見える位置までスリーブを戻しておく) - 極端に不揃いな被覆が無ければそのまま強く圧着する
- 刻印が正しいことを確認し,次の圧着作業に移る
- 全ての圧着作業が終了した時点で,スリーブ上端に出ている心線を切り揃える
(ペンチ,ニッパ,ストリッパー等を使用して0.5~2mm程度に) - 固定に使用した結束バンド等を全て外す
(結束バンドの場合はニッパ先端での切断が最適)
となります.
ここで,スリーブの選択,刻印を間違った場合はあせらずに,スリーブの中央辺りで切断してください.
こうすることで10mm程度の心線が残りますので,更に10mm程度の絶縁被覆を剥ぐだけで再圧着が可能となります.
決して【もう一度圧着して刻印を押しなおす】,【小スリーブの上から中スリーブをかぶせる】と言ったリカバリは行わないで下さい.下記一発アウトです.
技能試験に係る「欠陥の判断基準」の圧着に関する箇所を抜粋すると,
- 6-1.リングスリーブ用圧着工具の使用方法等が適切でないもの
イ.リングスリーブの選択を誤ったもの(JIS C 2806 準拠)
ロ.圧着マークが不適正のもの(JIS C 2806 準拠)
ハ.リングスリーブを破損したもの
ニ.リングスリーブの先端または末端で,圧着マークの一部が欠けたもの
ホ.1つのリングスリーブに2つ以上の圧着マークがあるもの
ヘ.1箇所の接続に2個以上のリングスリーブを使用したもの
の,ホ.,ヘ.に該当してしまいます.
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