第二種技能-24 代用端子台への心線挿入

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配線遮断器との違い

代用端子台(以下,端子台)も「ねじ締め端子の器具への結線部分」になりますので,前記事に共通する部分もありますが,以下の様な点で違う物として扱った方がいいでしょう.

代用端子台配線遮断器
ねじのサイズM3.5M5
電線の固定ねじと一体の角座金
(線押えねじ)
銅合金の板
(ソルダーレス端子)
固定方法座金にて抱き抱え平板での挟み込み
固定部分多少傾く平行
ねじの取外し可能(外れる)不可能(外れない)
端子台別での違いについて

配線遮断器は「端子が傾くような心線挿しは避けるべき」とされています.しかし,逆にどこに挿しても平行な状態で固定が可能です.

したがって,ねじを締め付ける時の感覚としては,いきなりガシッと締まる感覚です.増し締めは殆どしなくても大丈夫で,作品完成後に念のために増し締めする程度です.

一方,端子台と使用される「組端子台」は,凸状の溝が刻まれた座金が多少上下する遊びがある構造をしていることから,ねじを挟んで左右不均衡であっても心線の挿入が可能となっています.

技能試験のタイマー,自動点滅器のある課題以外では全て,片側だけへの不均衡状態となってしまいます.

したがって,この「遊び」が無くなるまでしっかりと締め付ける必要があります.徐々に締まっていくような感じで,作品完成後にはかなり増し締めすることになります.

端子台への心線挿入に対する注意点

この様な「感覚の違い」を知った上で,端子台への心線挿入,つまり結線作業で注意しなければならない点は次の3点です.

  1. 可能な限りねじの左側に心線を差し込む
  2. 心線が端子台の端から5mm以上露出しない事
  3. 電線を引っ張って外れ内容に維持する

左側に心線挿入の意味

ねじの左側に心線を差し込む理由は,右回りにねじが締まっていく際に,心線も巻きこまれるように「端子台の奥に向かう力が働く」からです.

しかし,ねじの右側に心線を差し込むと,ねじは締まるのに心線は手前に送り出されて「心線が外れていく方向に力が働く」からです.

とは言え,タイマーや自動点滅器の代用端子台とする場合は,左右に心線を差し込むケースがありますので,どちらに挿すかは「指定されていません」.動画サイト等に,右側に挿しているから欠陥だ!とのコメントを寄せている方を見かけますが,間違いですので気にしないでください.

ですから,ねじの右側に心線を差し込む場合は,外れる方向に逆らって「心線を奥に押しやる力を加えながら」ねじ締めを行う様にしましょう.絶縁被覆部分を持って端子台に押し込みながらねじを締めて下さい.実務では結構遭遇するケースですので.(ただ,撚線の場合が多い・・・)

心線の長さについて

心線の長さは技能試験に係る「欠陥の判断基準」で,端子台の端から5mm以上露出しない事となっています.

  • 8-3.結線部分の絶縁被覆をむき過ぎたもの
      (中略) 
      ロ.端子台の低圧側の結線にあっては,端子台の端から心線が 5mm 以上露出したもの

結線を行う要素では必ず「電線を引っ張って外れるもの」は欠陥とされますので,2.の注意点と合わせて各種動画や技能試験解説書では,【心線は端子台奥に突き当てた状態で,端子台端から5mm以上露出しないこと】と説明されることが多いようです.私もその解釈でいいと思っています.

端子台の端はどこか?

ここで,配線遮断器同様【代用端子台の端】はどこか?迷いますねぇ.ネット上でもそういった質問をよく見かけますし,間違った説明も散見します.

少し見辛いですが,この様に「器具の端」が【端子台の端】になります.

ですから,5mmと言う長さはかなり長いので,ここは余り神経質にならなくてもいいでしょう.

因みに,この【端子台の端】から端子台に突き当たるまでの長さは約12mmです.つまり,17mm以上の長さに絶縁被覆を剥いだ心線はダメですよと言うことに.

角座金が約8mmですので9mm程度でもいいのですが,できれば約10~12mmの心線長さであれば大丈夫です.

以下に,心線長さが9mmと11mmの場合の写真を載せておきます.

心線9mm
心線11mm

ただし,技能試験に係る「欠陥の判断基準」で説明のある

  • 8-4.絶縁被覆を締め付けたもの

に注意してください.

結局,心線の最適な長さは

ですから,

  • 心線は端子台の端から5mm以上露出していませんよ
  • 絶縁被覆は締め付けていませんよ

と言う事をアピールする意味でも,端子台の端から0.5~1mm程度見えるぐらいの長さとなる10mm位がベターだと思います.心線がしっかり視認できるぐらいがベスト!

心線が外れないようにするには

最後の注意点である【電線を引っ張って外れるもの】を意識しすぎて,端子台のねじ締めをプラスドライバーで力一杯,更にマイナスドライバーでもありったけの力で締め付ける動画を見かけますが,あれはダメです.端子台が壊れてしまって一発アウトです.

心線が「簡単には抜けない程度」の力で締め付けておいて,課題完成後に「確認のために増し締めする」程度で十分です.

その程度は,完成品をぶら下げて抜けなければいい程度と思っておいて下さい.

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