第二種技能-23 配線用遮断器への心線挿入

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配線遮断器について

前回までの記事で,器具への結線部分が「ねじなし端子の器具への結線部分」について説明しました.

今回からは「ねじ締め端子の器具への結線部分」について説明していきます.

最初は「配線遮断器」,いわゆる「安全ブレーカー」になります.

試験に使用されるのは,これもパナソニック製で正式名称が【安全ブレーカHB型 2P1E 20A】となります.

配線用遮断器はサーキットブレーカー,安全ブレーカーなどと呼ばれ,上記製品名にあるHBはHome-Breakerの略だそうでです.
一般的なもの(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)に比べて小さいことから,MCB:Miniature Circuit Breakerと言う記号が用いられます.だからHBなんですねぇ...
2P1Eとは2極(Pole)1素子(Element)を表し,端子が2極,過電流保護素子が1素子と言う意味にになります.
この製品の過電流保護素子はバイメタルによる熱動式であり,周囲温度,定格(本製品は20A)以上の電流が流れている時間で素子が熱を帯びて作動する仕組み.

配線用遮断器は,一種の「両切スイッチ」の様なモノですが,過電流が検出されると「自動的に遮断」されるところが,単なる「手動」スイッチとは違うところです.

まぁ,そう言う話は筆記試験の範疇ですので,これ以上は止めておきます.

配線遮断器への心線挿入に対する注意点

配線遮断器への心線挿入,つまり結線作業で注意しなければならない点は次の3点です.

  1. 必ず,L側に黒線,N側に白線を差し込む事(施工条件で指示される)
  2. 心線が端子台の端から5mm以上露出しない事
  3. 電線を引っ張って外れるもの

L,N側に注意

配線用遮断器には上下があり,100Vと言う表示が正しく(正立)読める向きにして右がNです.課題の施工条件では,このNに白線を挿すように指示があります.

一方,黒線については同じく施工条件で「非接地側電線には黒線を使用」との指示がありますので,L側には黒線を差し込むことになります.

心線の長さについて

心線の長さは技能試験に係る「欠陥の判断基準」で,端子台の端から5mm以上露出しない事となっています.

  • 8-3.結線部分の絶縁被覆をむき過ぎたもの
      (中略) 
      ロ.端子台の低圧側の結線にあっては,端子台の端から心線が 5mm 以上露出したもの

結線を行う要素では必ず「電線を引っ張って外れるもの」は欠陥とされますので,2.の注意点と合わせて各種動画や技能試験解説書では,【心線は端子台奥に突き当てた状態で,端子台端から5mm以上露出しないこと】と説明されることが多いようです.私もその解釈でいいと思っています.

端子台の端はどこか

ここで,【配線用遮断器の端子台の端】はどこか?迷いますねぇ.ネット上でもそういった質問をよく見かけますし,間違った説明も散見します.

心線の露出量は,この写真のように端子部の金属部分からではなく,端子台のボデイ端からの長さになります.

ですから,5mmと言う長さはかなり長いので,ここは余り神経質にならなくてもいいでしょう.

因みに,このボテイ端部から端子台に突き当たるまでの長さは13mmです.つまり,18mm以上の長さに絶縁被覆を剥いだ心線はダメですよと言うことに.

ですから,約13~15mmの心線長さであれば大丈夫です.

ただし,技能試験に係る「欠陥の判断基準」で説明のある

  • 8-4.絶縁被覆を締め付けたもの

に注意してください.

上の写真のソルダーレス端子(銅合金板)に絶縁被覆が噛み込んでしまうと欠陥になります.

ボデイ端部からこの金属部までの長さは2mm程度ですので,心線長さが11mm以下の場合,絶縁被覆が締め付けられてしまいます.

結局,心線の最適な長さは

ですから,

  • 心線は端子台の端から5mm以上露出していませんよ
  • 絶縁被覆は締め付けていませんよ

と言う事をアピールする意味でも,端子台の端から0.5~1mm程度見えるぐらいの長さとなる14mm位がベターだと思います.心線がキラッと視認できるぐらいがベスト!

心線が外れないようにするには

最後の注意点である【電線を引っ張って外れるもの】を意識しすぎて,端子台のねじ締めをプラスドライバーで力一杯,更にマイナスドライバーでもありったけの力で締め付ける動画を見かけますが,あれはダメです.端子台が壊れてしまって一発アウトです.

心線が「簡単には抜けない程度」の力で締め付けておいて,課題完成後に「確認のために増し締めする」程度で十分です.

とは言え,次の記事で説明する代用端子台は【線押えねじ】と呼ばれる座金付のねじですので心線抜けは発生し難いですが,配線遮断器の場合は【銅合金の平板】ですので外れやすいことは確かです.

その程度は,完成品をぶら下げて抜けなければいい程度と思っておいて下さい.締付トルク(1.6~2.0N・m)を知ったところで,これだけのためにトルクレンチを持ち込む人はいないでしょう.

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